テレビ離れはどこまで進む?(写真:beauty_box/イメージマート)
(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者)
インフラ面からも迫る新聞の終焉
最近、本欄では頻繁に新聞の話を取り上げてきた。
◎毎日新聞は「誤報」でないと言い張るつもり?『石破首相、退陣へ』報道におわびした読売と、対照的な毎日の頑迷さ【西田亮介の週刊時評】| JBpress
◎『石破首相、退陣へ』誤報疑惑に沈黙する毎日新聞、"首相が虚偽説明"と弁解する読売より信頼できるはずがない【西田亮介の週刊時評】| JBpress
◎読売新聞「あってはならない重大な誤報」のおわびに欠けている意識、"1面で謝罪"でも通用しない現代の訂正の作法【西田亮介の週刊時評】| JBpress
誤報とそのあとの訂正や説明に関するもっぱら批判的で、暗い話題ばかりで、それだけ新聞が弱体化した時代なのだということを改めて感じる。
新聞は端的にマスメディア性が疑わしくなっている。
部数、世帯普及率、信頼。日経を除いて、投資可能な資源が残されていた2000〜2010年代を無為に過ごしたツケは大きい。すでに、「ポイント・オブ・ノーリターンを過ぎた」という認識と背景を近著『エモさと報道』に詳述したが、どうか。
実際の数字を見ると、その深刻さがよくわかる。日本新聞協会によれば、2024年10月時点の総発行部数は2661万6578部(日本新聞協会「新聞の発行部数と世帯数の推移」)。前年比7%減、部数にしておよそ197万部の減少である。減少率はその前年から若干改善したとはいえ(23年⇒24年は約230万部減)、その深刻さに変わりはない。
すでに部数減少や、富山県などからの撤退による「全国紙性」の喪失、支局や記者の減少などについては前掲記事でも紹介した。
だが、それだけではなく、実は産業インフラの面からも、新聞紙の終焉はほぼ確実視できる。というのも、三菱重工業の子会社であり、新聞輪転機のシェアおよそ5割を占めてきた最大手・三菱重工機械システムが新聞輪転機製造を中止し、アフターサービスも「最長」2036年に終了することを表明したからだ。
◎三菱重工機械システム | 当社新聞用オフセット輪転機事業について
新聞発行部数が減り続けて印刷需要がもっと乏しくなることを見据えた判断だが、新聞の下部構造を担う事業者とその経営判断は、メディアや報道といった非事業的要素も絡みつく新聞社などよりもある意味ではよっぽどシビアである。
なお国内には新聞輪転機を製作する会社は少なく、三菱重工機械システムと双璧をなしてきた東京機械製作所が気を吐いている。最近は読売新聞社や宮崎日日新聞などと共同開発、新規の受注にこぎつけているようだ。
◎次世代型輪転機完成お披露目会 宮崎日日新聞社など共同開発 - Miyanichi e-press
ところで、もうひとつの「マスメディア」であるところのテレビを巡る状況はどうなっているのだろうか?