今回は少し変わった方向から「音楽とデジタル通貨」の双方にまたがる基礎的なお話をしてみたいと思います。
暗号通貨などの決済はもとより、様々な情報システムのセキュリティを支える技術の基礎に「整数論」と呼ばれるものがあります。
従来は純粋に数学的な「美しさ」が強調され、言ってみれば仙人のような「役に立たない理学」の最右翼に数えられていた数論が、コンピューターとネットワークの普及・発展で、いまや情報社会の基礎を支える重要な技術に変貌してしまった。
前回「中国人の剰余問題」から暗号理論の入口をお話しましたが、ここで重要になるのが「素因数分解」という考え方です。素数というのは1とそれ自身以外に約数を持たない数、つまり2,3,5,7,11,13,17,19、23,29,31・・・といった数を指します。
ちょっと考えれば自明のことですが、2以外の偶数はすべて2で割り切れますから素数ではない。そこで3以上の素数はみな奇数、奇素数(odd elementary numbers)などと言われます。
また上の列をよく見ると3-5、5-7、11-13、17-19、29-31・・・といった具合につながっている素数がいくつもあります。こういう例はほかにも59-61、71-73、101-103、107-109・・・などたくさんあって「双子素数」と呼ばれています。
ランダムにあるように見える「双子素数」ですが、実は不思議な性質があります。例えば上に挙げた例で「真ん中」にある数を見てみると、
12(11-13)、18(17-19)、30(29-31)、60(59-61)、72(71-73)、102(101-103)、108(107-109)・・・
となっている。何かに気づきませんか?
12、18、30、60、72、102、108・・・
全部6の倍数になっているでしょう。つまり双子素数は一般に、nを整数として
6n ± 1
という形をしている。だからと言ってすべての6n ± 1が双子素数というわけではない。n=4とすれば23と25になりますが。25は5×5=25で合成数だから素数ではない。
不思議だと思いませんか?