イランのドローン攻撃を受けたUAEの石油関連施設(写真:ロイター/アフロ)
(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)
米WTI原油先物価格(原油価格)は今週に入り、1バレル=70ドルから82ドルの間で推移している。米国とイスラエルのイラン攻撃により、価格の上値は先週に比べ14ドルも上昇した。
OPECプラスの増産も「無意味」
OPECプラス(OPECとロシアなどの大産油国が構成メンバー)の有志8カ国は3月1日、4月から日量20.6万バレルの増産を行うことを実施した。OPECプラスは1~3月は増産を停止していたが、米国とイスラエルのイラン攻撃により原油供給に懸念が生じたことへの対応だとしている。
だが、開戦が始まると民間企業が自主的な判断で運航を停止し、ホルムズ海峡は事実上の封鎖状態になったため、OPECプラスの決定は原油価格の高騰抑制にほとんど寄与しなかった。ロイターは2日「OPECプラスの今回の決定は過去10年間で最も無意味な決定だった」と酷評した。
米国政府は事態打開に向けて動き始めている。
トランプ米大統領は3日、ホルムズ海峡を航行する石油タンカーなどの安全を確保するため、米国が保険と海軍による護衛を提供すると表明した。米国際開発金融公社が非常に妥当な価格で保険を提供するとしているが、詳細は示さなかった。
この報道で原油価格は若干下がったが、即効性のある対策ではない。
ロイターは5日「ペルシャ湾で少なくとも2隻のタンカーが攻撃を受けた」と報じた。 ホルムズ海峡への不安は高まる一方だ。
このため、「中東依存度が高いアジアの石油企業が米国産原油の調達に走る」との憶測が流れ始めている。