18金製の2寸サイズの「お鈴」のお値段

 仏壇は最初、京都の熟練した職人のみが手がけることができた。金工、漆工、蒔絵など工芸技術の粋を極めた京仏壇・京仏具は全国の庶民の憧れの的であった。

 次第に地方都市でも製造が始まり、特に浄土真宗の勢力が強い富山の高岡地方や、漆塗りに適した気候の長野・飯山地方などで仏壇文化が華開いた。こうした地域では先祖供養に対する意識が高く、仏壇はより豪壮になる傾向にある。

 東京都心などではマンション住まいが増え、仏壇を置く家庭が少なくなっているものの、それでも全国の世帯の5割ほどが仏壇を保有していると言われている。仏像や厨子、お鈴、具足類(花立て、燭台、香炉など)に金が使われている。多くは金箔を貼ったものや合金だが、中には純金の仏具も存在する。

金細工が施された仏壇

 純金のお鈴は、他の金属製のお鈴に比べて残響音が長く、なんとも言えない柔らかい響きが特徴だ。筆者も鳴らしたことがあるが、純金のお鈴の音は心に染みるほど、味わい深い。

 実際、金地金やジュエリーを扱う貴金属専門店内には、決まって金の仏具コーナーが設置されている。だが、「なぜ、仏具が貴金属店に?」という不自然さは否めない。

 18金製の2寸サイズ(約120グラム)のお鈴だと現在のところ、500万円ほどが相場のようだ。一般的なお鈴は真鍮製でせいぜい5000円程度であるから、1000倍ほどの価格差が生じている。

 大手貴金属店では2000万円を超えるお鈴や、200万円の鈴棒(お鈴を鳴らす棒)、1000万円の線香立てなど、仏壇周りを純金で一式揃えると、マンションが買えるほどである。

 ここで、具体的なシミュレーションをしてみたい。まず、金が底値だった2001年頃に純金の仏具を購入していたケースである。当時は1グラムあたり約1100円。100グラムの金地金なら、11万円程度で買えた時代である。

 これを、同じ重さの仏具で買う場合には、加工賃が発生し、割高になる。細工が凝った黄金の仏像の場合は、加工賃はかなりの額になるが、お鈴の場合はデザインがシンプルなので、金地金の2倍程度の金額とみられる。金地金と同じ重さの純金のお鈴と比べて計算してみる。

 仮に2001年に300グラムの純金(24金)のお鈴を66万円相当で購入していた場合、「リサイクル価格」で売却しても700万円以上の利益が出る計算になる。

 2020年の水準でも、純金300グラムのお鈴が350万円ほどであるならば、400万円以上の利益が出そうだ。加工賃の上乗せ分なども、吹き飛んでしまうほどの近年の金の高騰といえる。とはいえ、純粋な投資リターンを追求するなら、仏具ではなく金地金を買うほうが合理的であることは当然だ。