「金の仏具」のもう一つのメリット
その実、金の仏具にはもっと別のメリットがある。あまり知られていないが、宗教儀式の道具である仏具や祭具は、相続税法第12条によって非課税扱いになっているのだ。仏壇、仏具、神棚、位牌、墓地、墓石などの「祭祀財産」は、相続税の課税対象から除外されている。
「だったら非課税の上、後世まで継承できる仏具に変えておこう」──。こうした心理が働くことは想像に難くない。金そのものは課税対象だが、金で作られた仏具は税制に照らせば非課税だ。
ただし、金の仏具を使った節税には注意が必要だ。国税庁はホームページで、「墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物」を「相続税がかからない財産」と規定しているのと同時に、「骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているものは相続税がかかります」と明記している。
つまり、あまりに不自然な分量・形態の純金製の仏具は、日常の礼拝用というよりは投資目的・節税目的で購入されたとみなされる可能性がある。
ある税理士は、「純金のお鈴をいくつも保有したり、仏壇もないのに純金お鈴だけを隠し持っていたりするなど明らかに課税逃れを目的とすると、課税対象になるリスクはゼロではない」と語る。
非課税が認められるための条件を整理すると、最も大事なのは「日常的に礼拝の用に供するもの」であること。そして、仏壇や他の仏具とバランスが取れた、社会通念上適切な範囲のものであることも大事だ。先の税理士が指摘したように、一世帯に同じ純金のお鈴が2つも3つもあれば、投資目的と疑われても仕方がない。
「礼拝の用に供する」ためには、仏像1体、お鈴1つ、香炉1つ、花立て1対、線香立て1つ、火消し1つ、火を消したマッチの燃え殻入れ1つの、ワンセットであるべきだろう。
金の仏具は伝統工芸品であるため、職人の手仕事による。先述のように、同じ重さの金地金と比べてかなり割高になる。純金製のお鈴は、同じ重さの金地金の2倍程度で済むかもしれないが、黄金の仏像になると、加工賃はさらに膨らむ。
なお、相続税額は法定相続人の構成や数、課税遺産総額に応じた税率、基礎控除などによって大きく変化する。したがって、仏具購入で課税価格が大幅に圧縮できたとしても、税率がどれだけ下がるかは細かく計算しないとわからない。