改めて考える、日本株の新値更新の意味
相場は市場参加者の多くが「高い高い」とうめきながら上がり、「安い安い」と言いながら下がることが少なくありません。というのも、相場は「これから起きること」を織り込みながら動く一方、多くの投資家(一部のプロを含む)は、経済紙などのメディアが報じる「過去に起きたこと」にフォーカスして売買している場合が殆どだからです。こうした相場への理解不足と誤ったアプローチが、多くの投資家とマーケットの「すれちがい」の背景にあるように思われます。
「相場が正しい」という謙虚さ
たとえプロの投資家であっても、相場を読み切って上手に立ち回ることは稀で、相場が動いてからその背景やファクトに気づくことが少なくありません。昨年2025年を振り返っても、アナリストが企業の業績予想の上方修正を始め、実際に業績が改善し、予想外の好決算に市場が沸いたのは、マーケットが大きく上昇した後、ないしは、上げ相場の「おいしい時期」が過ぎた後でした(図表3)。

冒頭で紹介した「早めの利食い」や「貪欲さへの戒め」についての相場格言も、「相場は何が起きるかわからない」「私たちは将来についてほとんど知らない」「強気、弱気の相場観も過去の事実に依拠した思い込みに過ぎない」といった謙虚さを持つことの大切さを説くものと言えそうです。
改めて日本株の「現在地」を確認すると、①史上最高値を更新しながらレンジを切り上げる上昇相場で、②高い株価評価が続き、③強く明確な上昇トレンドが出現しているように見受けられます。
このため、相場が発するサインに謙虚な気持ちで向き合うなら、現在の「止まらない上昇相場」は、①私たちが気づいていない日本経済や日本企業の明るい未来を示唆しており、②高いバリュエーションはまだ明らかになっていない買い材料をマーケットが織り込み始めているためで、③明確な上昇トレンドが続いていることは市場の勢いの強さを示しており、軽はずみな売りは「踏み上げ(売り方の買戻し)相場」で痛い目に合うかもしれない、と考えておいた方が良さそうです。
今、目の前にある価格やマーケットの動きを冷静に受け入れ、その背景について様々な「仮説」に考えを巡らす謙虚さこそが、賢明な投資姿勢と言えそうです。そして、日々のメディアを賑わすニュースは、将来を予見するためのヒントというよりは、そうした「仮説」の答え合わせの材料に過ぎないように思われます。