「戦争」と「災害」の記憶をどうつなぐか?陛下が案じられる風化の正体

 昨年、陛下は誕生日に際した記者会見で、戦後80年という節目に触れ、戦争で亡くなった人々や苦難を経験した人々を忘れず、歴史への理解を深め、「平和を愛する心」を育むことの大切さを語られた。

 とりわけ「戦争の記憶が薄れようとしている今日」という現状に触れられ、体験した世代から体験していない世代へ、悲惨な体験と歴史が伝えられていくことの重要性を明確に述べられている。

 この“記憶の継承”という陛下のお考えは、戦争だけにとどまらない。

 同じ会見で陛下は、能登半島地震と復旧・復興の途上で起きた豪雨災害に言及され、「複合災害」「二重被災」という言葉を用いながら、現地で見た被害の実相と、被災者の厳しい状況を語られている。

 さらに、大規模災害の経験と教訓も「世代を越えて語り継いでいくことが大切」だと述べ、将来の災害への備えを促された。

 災害の記憶もまた、時間とともに輪郭が薄れていく。だが、その教訓は「次に備える知恵」へと生かされなければならない。ここに、昭和100年が掲げる“記憶の共有”と、陛下の問題意識が重なるのではないだろうか。

 実際、宮内庁は、東日本大震災から15年の節目となる2026年春に、天皇皇后両陛下が岩手・宮城・福島の被災3県を訪問される方向で調整していると報じている。現地での復興状況の視察などが念頭に置かれているという。

2021年3月11日、東日本大震災10年の追悼式でお言葉を述べられた天皇陛下と皇后さま(写真:代表撮影/共同通信社)