韓国軍とクーデターの歴史

 韓国軍の政治介入は、建国後の国家形成と深く結びついてきた。

 1961年の5・16軍事クーデターは、軍が「国家を救う主体」として政治に踏み込んだ最初の大事件である。

 腐敗した政治を正す「革命」を自任した点が特徴だった。朴正煕氏は、陸士8期生を中心とする将校グループを基盤に政権を掌握し、軍が政治権力の中枢に立つ軍事政権の構造を確立したとされる。

 その後、1979〜80年の12・12事態と5・17(非常措置/クーデター)では、全斗煥・盧泰愚両氏が軍の情報・人事・作戦を組織的に掌握し、国家権力を握ることに成功した。

 彼らは、混乱した国家秩序を正し安定を回復するという大義名分を掲げていた。

 これは軍が国家の頂点に立った最後の事例であり、韓国軍の政治介入の「完成形」とも位置づけられている。

 こうした歴史を踏まえると、今回の尹錫悦前大統領の判決は、文民政権下において、軍隊・警察・検察の人事を通じた政治的影響力行使を司法が初めて明確に否定した点に特徴がある。

 軍の政治関与に対し、司法が初めて明確な線引きを示したとも言える。