日本人のメンタリティに合うフェルメールやゴッホ
ゴッホの“青い絵”は、フェルメールを知った後、亡くなる前の数年間に描かれたものが多い。そのうちの1つが、日本でも高い人気を誇る『夜のカフェテラス』。ゴッホが「昼よりも生き生きとして、光に満ちている」と記した夜をテーマにした作品だ。
星が瞬く濃紺の星空と黄色い光に覆われたフランス・アルルのフォルム広場のカフェ。多くの客で賑わうテラス席やカフェの前を行き交う人々など、活気に満ちた夜の街は幸福感にあふれている。ゴッホは妹への手紙の中で、「黒を使わない夜の絵を描くことを楽しんでいる」と綴っている。
夜のカフェテラス
この作品は、画家のユートピア建設を目指して1888年2月にアルルにやって来たゴッホが同年9月に描いたもの。翌10月から共同生活を始めたゴーギャンと決別し、自分の耳を切り落としたのはこの年のクリスマスのことだ。
ゴッホの時代はコバルトブルー(酸化コバルトと酸化アルミニウムによる顔料)や人工のウルトラマリンブルー、プルシアンブルーなど新しい青の顔料が次々と誕生しており、油絵の具のチューブの普及により屋外での制作も容易になっていた。ゴッホはフェルメール的な黄色との対比の中で、これらの顔料を駆使して希望に満ちたアルルの夜を幻想的に描き出した。
『夜のカフェテラス』は目下、「大ゴッホ展 夜のカフェテラス」で日本を巡回中だ。2月21日~5月10日は福島県立美術館に展示され、5月29日からは東京・上野の上野の森美術館にやって来る(8月12日まで)。来日は約20年ぶりとなる。
ある専門家は、「重厚な赤や緑を多用する欧州のオールドマスター(18世紀以前に活躍した大御所画家)よりも、青や黄色といった寒色系のフェルメールやゴッホの方が日本人のメンタリティに合っている」と話す。