日七未ちゃんの被害に対する責任の追及、絶対にあきらめない

――日七未ちゃんは現在、生後8カ月。お父さんである友太さんのご実家におられるそうですね。

水川 昨年11月、愛知県の病院から関東地方の病院に転院し、その後、友太君のご実家で24時間の在宅介護を受けています。日七未が愛知の病院を発つ前の日、私は仕事を終えてそのまま急いで病院に駆け付けたのですが、そのとき、先生や看護師さんのご厚意で、初めて抱っこさせてもらうことができたんです。

 当時は生後5カ月、生まれたばかりの頃から比べれば、とても大きく、重たくなって、ほっぺもふっくらして、成長を感じました。日七未は、沙也香が赤ちゃんの頃にそっくりで、ただ眠っているようにしか見えないその穏やかな表情を見ながら、『沙也香はこの子を抱くことも、見ることもないのだ……』と思うと、余計に悲しくて、つらかったですね。

――沙也香さんのいない初めての年末年始を過ごされて、何を思われていましたか。

水川 お正月にはきっと日七未を連れて友太君のご実家に行き、楽しく過ごしていたんだろうなと考えていました。刑事裁判では加害者の姿を初めて見ました。児野被告は検察官の隣に座る友太君と私の夫には頭を下げたものの、傍聴席にいる私や沙也香の兄妹、親族の方は振り返らず、頭を下げることもしませんでした。改めて怒りが込み上げました。

 結局のところ、今が一番つらいかもしれません。亡くなる瞬間に立ち会い、火葬場ではバラバラになった骨を拾ったというのに、私は今も沙也香が帰ってくるような気がして、まだ死が受け入れられてないんです。

2018年、兄夫婦の赤ちゃんのお宮参りで、母の美香さんと沙也香さん(家族提供)

――胎児を人とみなさない今の法律については、引き続き声を上げて行かれるのでしょうか。

水川 はい、この問題については、友太君や主人がいまも頑張って動いています。

――たしかに刑法では、『胎児は母体の一部』とされていますが、昭和63(1988)年に最高裁が水俣病事件で『胎児に加えられた侵害が出生後に人に死傷の結果をもたらした場合、業務上過失致死罪が成立する』と決定しているそうで、その後、複数の交通事故裁判で、被害を負った胎児に対しても同様の判決が下されていますね。

 ただし、それらはいずれも出生後に死亡や障害といった結果が生じたケースであり、事故時に胎児だったという点のみで判断された例ではありません。

水川 それだけに、日七未の件についてもあきらめることはできません。このままでは、沙也香の命が無駄になってしまいます。沙也香のお腹の中で事故に遭った日七未は、今も24時間の介護を受けながら、人として懸命に生き、成長を続けています。この先、同じ苦しみをする方がなくなるよう、引き続き声を上げていきたいと思っています。

――第3回公判は3月13日、名古屋地裁一宮支部で予定されています。引き続き取材を続けていきたいと思います。

(了)