妊娠22週を過ぎてからの中絶は罪、それなら22週を過ぎた胎児は「人」ではないのか

――昨年から沙也香さんのご主人が中心となって署名活動を展開され、日七未ちゃんも被害者と認めたうえで、加害者を過失傷害罪で起訴すべきだと訴えてこられました。しかし、第2回公判では残念ながらその思いは届きませんでした。

水川美香(以下、水川) はい、法律の壁というものを思い知らされました。「お腹に赤ちゃんがいますよ」と言われ、母子手帳をもらうということは、そのときから『母親として子育てをします』という意思表示だと私は思うんです。

 例えば中絶の場合、妊娠22週を過ぎれば罪になるわけですが、そうであれば、最低でも22週を過ぎた胎児は人として認められるべきではないでしょうか。今の法律はまったくそれに追いついていません。

 事故の瞬間に「胎児」だったという理由だけで「人」と認められず、交通事故によってこれほど過酷な被害に遭っているというのに、加害者が起訴されないというのはどうしても納得できません。

――初めての出産を控え、沙也香さんはご実家である水川さんのご自宅で準備をしながら過ごしておられたのですね。

水川 そうです。健康に気を使いながら、赤ちゃんが生まれる日を本当に楽しみにしていました。

事故の4日前の沙也香さん。赤ちゃんの誕生を心待ちにしていた(家族提供)

 沙也香と最後に会話を交わしたのは、前日の夜でした。11時頃、お風呂から上がって、沙也香はリビングのソファに座りながら髪の毛をとかしていました。「早く寝なよ」と声をかけると、「髪の毛を乾かしたら寝るね」と……。翌朝、私は仕事で早く家を出たので、結局、それが最後になってしまいました。

警察から返された沙也香さんのスニーカーには事故の衝撃で穴が開いていた。誕生日に夫の友太さんからプレゼントされたものだった(家族提供)