“儲からない市場”で生き残るための決断をした三菱ふそう
まずは日本側の三菱ふそう。日本のバス製造は高度成長期からバブル時代にかけては三菱自動車、いすゞ自動車、日野自動車、日産ディーゼル工業の4社が激しいつばぜり合いを演じるホットなセクターだったが、ここ30年ほどは時折薄日が差すことはあれど、基本的にはまったく儲からない“構造不況業種”となっていた。
日野といすゞはバス事業を統合したうえでジェイ・バスに分社化。日産ディーゼルがボルボ傘下に入って改名されたUDトラックスはバス事業そのものから撤退している。
三菱ふそうは単独ブランドを維持しているが、規模が小さい日本のバス市場だけではどうにもならない。マイクロバスの「ローザ」はアジア、中南米などへの輸出である程度成功しているものの電動化が進んでいないため、今後の規制対応は不透明。
中大型は高速バスや連接バスなど日本では需要の薄い分野に対応できず世界性を持てていない。ちなみに親会社ダイムラートラックも本拠地欧州ではトレイトングループ(フォルクスワーゲン系)、ボルボバス、IVECO(フィアット系)などに押され気味だ。
ダイムラートラック、三菱ふそうとも、電動化技術や自動運転技術を持ち合わせていないわけではなく、トラック分野の技術開発では主要プレーヤーの一角にいる。だが、公共交通機関のバスと物流のトラックでは優先的に解決すべき技術テーマが大きく異なる。
大きさや空載重量がトラックと似ているからといって、次世代バスも簡単に作れるというわけではないのだ。高い技術は求められるが利益を出しにくいバスの電動化、自動運転化を他の企業との提携で乗り切れるのであれば、それに越したことはないという状況だった。
「ジャパンモビリティショー2025」でブリーフィングを行う三菱ふそうトラック・バスのカール・デッペン社長(2025年10月29日、写真:日刊工業新聞/共同通信イメージズ)