1988年頃の稲盛和夫写真提供:京セラ(以下同)
京セラ創業者・稲盛和夫の講話集を、社員が理解し実践できる形に再構成する──。社内向け講話集『京セラフィロソフィ』が手に取られにくい状況を踏まえ、発言を108項目に整理した新たな発言集の制作が進められた。カード化による体系化、原稿の読み合わせで示された哲学の深化はどう進められ、初の著書『心を高める、経営を伸ばす』はいかにして生まれたか。
社員が理解し、実践できる、新しい稲盛の発言集を作る
怒声から始まった稲盛和夫との初めての接点。その後、私は稲盛の社内向け講話集の編集に努めた。しかし苦心しても、講演録を束ねていくだけでは、社員には読まれなかった。もっと稲盛の考え方に触れやすく、理解しやすい新しい発言集を作成すべく、企画と制作を進めた。この新企画を通じて接点が増え、さらに稲盛を深く知ることになった。
全社員に配布された稲盛の講話集『京セラフィロソフィ(合本)』
稲盛和夫の講話集『京セラフィロソフィ』。私が担当した時点で第24号まで発刊され、その合本は大きく分厚く重かった。A4サイズにタテ2段組でびっしり文字が組まれ、全355ページに達する。文章整理や用字用語の統一などの編集処理もほとんどされていない。
読書を日課とする者にとっても荷が重く、退職者から返却された講話集は手つかずのものが多く、再配布さえ可能であった。そもそも、京セラで多数を占める製造現場で働く社員には、講話集を読む場所も置く場所さえなかった。昼休みの食堂や休憩所は、静かに読書ができる環境ではなく、ロッカーにも限られたスペースしかなかった。






