記者会見する日産自動車のイバン・エスピノーサ社長=7月30日午後、横浜市(写真:共同通信社)
(井上 久男:ジャーナリスト)
日産自動車が7月30日に発表した2025年4~6月期決算は、本業のもうけを示す営業損益が前年同期の10億円から791億円の赤字となり、最終損益も286億円の黒字から1158億円の赤字に転落した。第1四半期での最終赤字は5年ぶり。
第1四半期の日産のグローバル販売台数は10.1%減の70万7000台。主な地域ごとに見ると、北米が前年同期比2.4%減の31万5000台、中国が27.5%減の12万1000台、欧州が5.1%減の7万5000台だった。
営業赤字になった主な要因は、新車不足による販売の落ち込みに加え、トランプ関税の影響を受けたことだ。関税により687億円営業利益を押し下げた。地域別の営業損益で、北米地区の営業赤字が209億円から542億円に拡大しているのは、関税の影響によるものだ。また、稼働率が落ちている追浜工場を減損処理したことで400億円の損失が生じたため、営業損益段階から赤字が膨らんだ。
今回の決算の状況についてエスピノーサ社長は「当社が直面する課題の深さを象徴している」と語った。
5月13日に日産は経営再建計画「Re:Nissan」を発表し、25、26年度にかけて大幅な生産能力削減や人員削減を行う予定であり、その期間は業績が上向くことはないと想定されていた。6月半ばに筆者がエスピノーサ氏にインタビューした際も「成長戦略は頭の中にはあるが、今はリストラに集中する」などと語っていた。
日産は決算発表とほぼ同時にメキシコ・シバック工場での車両生産を25年度中に終了することを発表した。これは「Re:Nissan」の中で、世界で17ある完成車工場のうち7工場を閉鎖する計画を示しており、その一環だ。