再建計画を発表するイヴァン・エスピノーサ氏(写真:ロイター/アフロ)

(井上 久男:ジャーナリスト)

 日産自動車は5月13日、世界で7工場の閉鎖、全従業員の15%に当たる2万人の削減などを2027年度までに行う経営再建計画「RE:NISSAN」を発表した。生産能力や人員の削減規模は、1999年にカルロス・ゴーン氏が主導した「リバイバルプラン」に匹敵するものだ。

 4月に社長に就任したイヴァン・エスピノーサ氏は「痛みを伴うものだが、わが社を救う唯一の方法である」とメディアに対して説明した。

 7工場閉鎖などにより車両の生産能力(中国は連結対象ではないため除く)は24年度の350万台から27年度には250万台程度まで落とす計画。内田前社長時代の25年2月13日には、26年度に300万台にまで落とす計画を示していたので、さらに踏み込んで生産能力を削減するようだ。

 人員削減についても、内田前社長は9000人の削減を打ち出していたが、1万人以上上積みすることになる。2万人削減の内訳は、生産部門で65%、販売・管理部門で18%、開発部門の契約スタッフを中心に17%の削減を実施する。

 エスピノーサ氏を中心とする新経営陣は、内田体制で決めた前提条件を再チェックし、リストラ計画を練り直した。

 ホンダとの経営統合交渉が破談した一因は、日産が大規模で素早いリストラ策を打ち出せないことにホンダが不信感を示したことにある。人員削減規模については、ホンダ側の試算では3万7000人が必要だと見られていた。

 日産社内やOBの中にも「国内の車両生産工場やエンジンなどのパワートレイン生産拠点の閉鎖は避けられない」と見る向きは多かった。

 筆者も、9000人のリストラでは日産は再建できないと思っていた。