「プラットフォーマー戦略」を取る関潤氏の狙い
顧客の信頼をなるべく短期間で得るために関潤氏が一貫して取っているのが、自社ブランドでの展開にこだわらない「プラットフォーマー戦略」だ。
前述のように最終顧客である旅客輸送会社の信頼をダイレクトに得るのは非常に難しい。しかし、自動車のグローバルメーカーに中間顧客になってもらうのは、それに比べるとハードルが低い。
前者は実績でしか評価ができないが、後者は長年クルマ作りで鍛え上げてきた技術評価や性能試験によって、手を組んだ後に問題が起こらないかどうかをある程度予測する能力を持っているからだ。
今回の三菱ふそうとの提携で自社開発のバスが採用され、おまけに日本に合弁の製造拠点を持てるというのは、三菱ふそう、ダイムラートラックからお墨付きをもらったようなもの。今後協業を通じて発生するであろう技術交流でさらにクルマ作りが磨かれることも期待できる。
日産のトップ人事で社長になれず、その後に日本電産の社長となったものの創業者の永守重信氏との軋轢で退社し、鴻海に流れ着いた関潤氏にとっては、経営者として初めて手にした大きな成果と言っていい。
記者発表の場で満面の笑みを浮かべながら自動運転のビジョンをアピールしたのもむべなるかなというものだろう。
鴻海精密工業グループCSOの関潤氏(2025年4月撮影、写真:日刊工業新聞/共同通信イメージズ)