もちろんアフガニスタン、イラクなどでの英国、ドイツ、オーストラリアなどの貢献はありましたが、トランプ政権の立場から言えば、米国の莫大な負担と犠牲に比べれば微小ということでしょう。

 同時に、先日のトランプ大統領の「アフガンにおける英国軍はいつも米軍の後ろにいた」という発言はもってのほかです。これはトランプ大統領独特の挑発であることは確実です。しかし、トランプ大統領が同盟国の軍人の犠牲を茶化すようなことを言うことは禁句です。

防衛費の「GDP5%」はあくまで米側の期待値、具体的な対日要求にしなかった理由

 同様に、平和憲法を盾に取った防衛費1%政策を半世紀にわたり続けてきた日本の立場は、地理的に中国、極東ロシア、北朝鮮を囲い込む日本列島の位置と米軍基地と後方支援機能の提供というプラス要素を加味しても、極めて不十分であると米国は見ていると考えます。

 ただし、日本の平和と戦争に関する国民感情の繊細さなどにも配慮して、これまで米国は声高かつ強い対日圧力は控えてきました。

 トランプ政権の対中経済関係重視のコインの裏側にあるものは、対中軍事力の優位性の維持であり、日本の地理的特徴も加味したうえで、わが国の防衛力の強化(強靭な社会インフラの構築を含む)と米軍支援能力の向上および周辺諸国事態への対処能力の構築であることは明白です。

 それを具現する手段としての防衛費の規模は対GDP比「X%」という論議はあるでしょうが、今回も日本を狙い撃ちにした5%要求は避けたと言えます。それゆえ、5%は一般的な期待値として扱い、具体的な対日要求としなかったものと考えます。 

 わが国政府は、この観点に立ち、米国との戦略調整と情勢認識の共有を推進したうえで、わが国の積み上げた結果として、常識的には対GDP比で防衛費2%以上とすることが必要でしょう。

――韓国軍が北朝鮮に対する抑止と防衛の主役となり、米国は核の傘による抑止などの補助的な役割に集中するという点についてはどうみておられますか。

香田 韓国に関しては、地理的位置(中・露・北と同様に日本列島線により包囲)と歴史的な対中関係と民族的な対北関係を考慮した場合、トランプ政権の大戦略としては、台湾、南シナ海、太平洋島嶼事案は日米豪が主担当で、韓国は北の暴走の抑止と対中の東側面(Eastern Flank)および対露監視役を韓国の主担当任務としたものでしょう。

 つまり、韓国による北の南侵と対中支援防止、中国の脇腹への東からの圧力、ロシアの牽制という戦略的役割分担により、日米豪を対中に専念させることを可能とする目的があると推察されます。 

 これを具現化するために、米国は「核の傘による抑止などの補助的な役割に集中する」ということにしたと考えます。