短期的には経済重視なので中国と協調

――中国について「対立ではなく力」を通じて接すると明記しました。これはG2(米中2極体制)を意識したものですか。トランプ政権の対中政策はどのようになりますか。

香田 「対立ではなく力」の意味はいま一つ不明確ですが、次のことが言えます。

 先程も申し上げましたが、米国繁栄のための実利的かつ短期的にトランプ政権が設定する国家目標と国益は、自国の立場を主張しつつ(お互いに譲らないまでも)ぎりぎりの妥協による経済協調を優先した米中並立、つまりG2であることは事実でしょう。

 米中は、国家理念、つまり主義主張から国家体制、国民文化まで「水と油」という関係です。その違いがはっきり出てしまい、対立しやすいのが安全保障や軍事の分野です。その安全保障と軍事を、米中関係や台湾事案の正面に据えてしまったら、必然的に、抜き差しならない米中対立につながることは容易に予測されます。

 そうした事態は現在、最優先としている米中経済協調による安定確立に真正面から抗することになるため、トランプ政権としては「米中対立」――つまり安保事案の正面案件化――を避け、米国の力を背景とするものの「対立」ではなく、米中経済協調を主題とする方針を示したものと推察されます。

 このことからトランプ政権は「ディール」つまり、その時点と案件ごとの、経済を優先した実利的な米中関係(政戦略、政策)の構築を模索するものと思われます。

 しかし、米国の本質として、また第1次トランプ政権における、身に染み付いた対中教訓(ペンス副大統領とポンペオ国務長官の「中国は信用できない国、二度と親交・深交すべき相手ではない国」発言)に加え、先程も述べた、長期的に中国は世界の「覇」を争う相手という米国民のDNAとも言える考えから、今後とも長期にわたりトランプ政権および以後の米政権と国民が、中国と無節操に「ブラインド・ハグ」を続ける事態が続くことはないと思料します。

2017年11月、訪中したトランプ米大統領と中国の習近平国家主席=北京の人民大会堂(写真:共同通信社)

 また、日本としては、この観点に立った対米政戦略と日米の思想統一の努力が必要と言えます。