そもそも、こうした暴行動画を拡散させ、同年代の少年少女たちに閲覧させることも罪に問われることではないのだろうか。
児童虐待は身体的虐待、ネグレクト(育児放棄)、心理的虐待、性的虐待の主に4つに分けられるが、このうち心理的虐待には両親のDV(家庭内暴力)や夫婦喧嘩を子どもに見せることも含まれる。児童とは基本的に18歳未満を指す。
そうでなくとも、子どもが暴力シーンに接することによる悪影響は、映画鑑賞にいわゆるR指定が設けられていることからもわかるはずだ。
そして、もっと恐ろしいと思えるのは、動画の存在を知った大人たちの対応だった。
当事者や家族を特定しSNSで個人情報を垂れ流し
結果的に、このような動画が拡散して、はじめて学校や教育関係者と呼ばれる大人たちが調査をはじめた。裏を返せば、動画が子どもたちによってアップされなければ、大人たちはこのような凶行があったことすら気づかなかったことになる。
そうなると、動画がSNSに載らないだけで、日本の子どもたちの間では、同様の暴力行為がもっと潜在的に横行していてもおかしくはない。それに大人が気づいていない。交流サイトを通じて、初めて教育関係者が事態を知る。前述の福井のケースは、2023年の動画というから、それまでずっと放置されていたことになる。あまりにも無責任が過ぎる。
知ってしまって、ようやく調査に乗り出す。暴行の事実確認を行なって、国が定めた「いじめ防止対策推進法」に基づく「いじめ」に当たるかどうか確認する。だが、もう殴っている時点でいじめ以外のなにものでもない。
さらに深刻なのは、こうした動画が拡散されたあとに、やはりSNSで、暴行に関与したとされる当事者や家族を特定して、個人情報を垂れ流し、批難の集中砲火の的にさせることだ。学校や教育委員会にも誹謗中傷が相次ぎ、栃木県の教育委員会は会見で、生徒の安全確保のために誹謗中傷をやめてほしいと呼びかけたほどだ。