2026年に加速する二つ目のメガトレンド

2.「関税の武器化」から「規制の武器化」へ

 2025年はトランプ関税に加え、中国の過剰生産・輸出に対する各国のアンチ・ダンピング措置や相殺関税措置などに代表される関税・貿易救済措置の発動が多くみられた。米国や他国市場から押し出された中国製品が自国市場に流入することを防ぐため、自国でも貿易救済措置を発動するという連鎖がすでに生じている。

 この動きは2026年も継続するとみられる。また、米国や中国などの大市場国が経済的威圧の手段として関税を武器として用いることも続いていくだろう。

 さらに、2026年には、多くの国で自国産業の保護と懸念国製品・企業の自国市場からの排除のため、安全保障や環境・人権・安全等の公益保護を目的とした規制の活用が増えていくとみられる。

 国家・経済安全保障確保のための輸出管理や対内投資審査の厳格化、環境・人権保護のための輸入制限、政府調達における信頼できない製品・サービスの排除、工業品や農産品、デジタルサービス等における安全や消費者保護のための規制や標準・規格、公正な競争確保のための独占禁止法の適用などである。

 これらはいずれも正当な目的の実現のために活用されるものだが、なかには正当な目的を偽装した自国第一・保護主義的措置も少なからずみられる。こうした規制を「武器」として用いることが増加していくことにも警戒が必要である。

3.「アフォーダビリティ」に左右されるトランプ関税

 2026年もトランプ関税には引き続き警戒が必要である。

 相互関税など、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税を巡る訴訟の最高裁判決が間もなく出ると見込まれているが、違憲と判断された場合でも、1974年通商法122条、同301条、1962年通商拡大法232条などに基づいてこれまでの関税措置の継続を図るとみられている。

 また、232条に基づく分野別関税については、半導体や重要鉱物、ドローン、産業機械等で発動に向けた調査が行われており、2026年には実際に発動されることが見込まれている。

 一方、2026年11月の中間選挙に向け、トランプ政権は「アフォーダビリティ(affordability)」(生活必需品や住居費などのコストを無理なく継続的に支払える生活状況)を実現しなければならない。そのため、2025年11月に相互関税の適用除外品目を消費財を中心に拡大し、2026年1月1日より引き上げ予定であった木製家具等の関税引き上げを1年間延期した。今後も既存関税の修正や、発動予定の関税の対象品目の絞り込みや発動延期の可能性もある。

 2026年は、国内産業保護や投資誘致、他国とのディールのための関税賦課と、「アフォーダビリティ」実現のための関税措置の修正の間で、トランプ政権の関税政策が揺れ動くことが予想される。

民主党の急進左派、マムダニ氏が当選したニューヨーク市長選ではアフォーダビリティが大きな争点になった(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)