そこに本気はあるのか?東電側弁護士も含まれる「第三者委員会」
揺れの想定を意図的に小さく計算して審査をすり抜けるという重大な不正を、末端の社員だけで決めたとは考えにくい。上層部がどこまで関わったのか、組織の意思決定の様子を解明することが必要だろう。
中部電力は「事実関係および原因の調査、再発防止策の検討等を行うため、当社から独立した外部専門家のみで構成される委員会(以下「第三者委員会」)を設置することを取締役会で決議いたしました」と発表*7。林社長は記者会見で、「原子力部門の解体的な再構築を視野に入れて覚悟を持って取り組んでいく」と話した。
*7 https://www.chuden.co.jp/publicity/press/1217264_3273.html
しかし、どこまで本気なのかは疑わしい。第三者委員会のメンバーには、東電事故で東電側の弁護をしている、いわば原子力業界の御用達の事務所に所属する弁護士が選ばれている。それを「第三者」と称している時点で、「解体的な再構築」という掛け声は虚しく聞こえる。各地の脱原発訴訟に住民側から関わっている弁護士をメンバーに入れるぐらいでないと、信頼できる「第三者委員会」とは呼べまい。
また、中部電力の不正行為は、外部から規制委に通報があったことで発覚した。規制委は、自力では中部電力の重大な不正を見抜けず、合格させてしまっていた。審査の核心となる重要なデータのイカサマさえ見抜けぬ能力に問題はないのか検討する必要もあるだろう。
浜岡原発3、4号機の再稼働審査で中部電力が基準地震動を意図的に過小評価した疑いがある問題を巡る原子力規制委の会合で発言する山中伸介委員長=1月7日、東京都港区(写真:共同通信社)
林社長は、電気事業連合会の会長も務めている。昨年12月19日の会見で、既存の原発に関して「稼働率を高くすることが大切だ。それだけでは足りないので、新増設やリプレース(建て替え)の検討を進めていくことが重要だ」と語っていた。
電力の確保は重要だが、原発より安くて安全な発電方法は、もうほかに登場している。稼働率を高めるためなら、世間の理解を得られないような不正な手段を選ぶこともためらわない組織に、原発をまかせるのはやめた方がいい。それが311の教訓だったはずだ。



