また、和歌山県の神倉神社「御燈祭(おとうまつり)」では、祭りの期間中は男たちは女性と言葉を交わすことも禁じられている。香川県の女木島「住吉神社大祭」は、神輿の担ぎ手は血縁男性に限られ、観客についても女人禁制を貫いている。

「女性は土俵から降りてください」

 よく知られた女人禁制の例では、女性が大相撲の土俵に上がることの禁止がある。大相撲は江戸時代、「勧進相撲」として寺院境内で行われるようになり、宗教性を帯びていく。土俵は神仏習合した神聖なる祭祀の場として、次第に女人禁制が定着していったとされる。

 大相撲の女人禁制は現代社会において、しばしば軋轢を生んできた。表彰式などにおいて、女性の政治家が表彰役に任じられても、土俵下から賞状を手渡す対応が取られてきた。

 2018(平成30)年4月には、京都府舞鶴市で行われた大相撲春巡業で、男性市長が土俵の上で挨拶していた際に、くも膜下出血で倒れた。この際、観客席から複数の女性看護師が心肺蘇生を行うために土俵に上がったところ、日本相撲協会は場内アナウンスで、

「女性は土俵から降りてください」

と呼びかける徹底ぶりであった。

『欲望の仏教史』(鵜飼秀徳著、SB新書)