自動運転ソフトで世界をリード
LKをハード領域の企業だとすると、ソフトウエア領域に強い企業にも訪れた。自動運転のソフトウエアを開発しているポニーaiやWeRideなどだ。
トヨタも出資するポニーaiが開発したシステムが載る無人運転のロボットタクシー(写真:2025年7月筆者撮影)
中国の広州や深センでタクシーを呼ぶと、運転手がいない「ロボットタクシー」がやってくることがある。無人運転バスも走行しているが、こうした会社の技術を使っている。こうした中国のソフト領域の会社は「割り切った社会実装力」に強みがあるように感じた。新しい技術を実社会に導入し、軌道修正しながら確実なものに仕上げる力ともいえる。
前述した小鵬汽車やソフトウエア会社には、筆者の視点では4つの共通項があった。①「AIカンパニー」を目指していること、②米国に開発などの拠点を持つこと、③米国市場で上場していること、④経営のスピードが速いことだ。
米中の政治的な対立ばかりが注目されるが、資金調達や部品調達などの面で米中の産業界は実は密接につながっていることが分かった。筆者が半導体調達について尋ねると、「米中両政府の顔を立てる形で調達している」と答える企業もあった。第三国経由で調達しているのだという。
日本は、米中の政治的な対立を過剰に意識し、かつ日本の同盟国である米国を過剰に信用した結果、対中戦略を誤ると、いずれ米国からも梯子(はしご)を外され、日米、日中関係がともに崩れる結果になるのではないかと感じた。これは言い過ぎかもしれないが、米中対立は「プロレス的要素」もかなりある。
台湾問題に関する「高市発言」により、日中関係は悪化した。SNSなどでも中国を叩けば盛り上がる。しかし、日本の国益を考えれば、果たしてそれで良いのだろうか。
また、今の日本国内では、中国は共産党一党支配が続く「特殊な国」だと指摘する声も少なからずある。軍事力の台頭とともに、「中国は怖い」といったイメージもある。経済力、軍事力が共に強大となった隣国を「怖い」と思うのは、自然な国民感情なのかもしれないが、果たしてそれで済ませてよいものなのか。
さらにそうしたイメージも、中国に直接行った人が発信しているものは少なく、また聞きによる間接情報やSNSでの真偽不明の情報に基づくものが多いと感じている。現政権の閣僚や自民党の役職者で中国に行って現地を見たことがある、あるいは中国の政治家と直接交流がある人がどれほどいるのか。
政治や経済領域の日本のリーダー層は、中国の現状を自分の眼で直視せず、間接情報のみで「中国が怖い」「中国は異質だ」などと言って現実から目をそらしてしまいがちだ。だが、主体的に関係を構築していくことを避け、米国を頼りにしていれば何とかなるといった感覚でいると、いずれ米中が手を組み、日本ははしごを外されるのではないか。