派手さを拒む内装が逆に新しい、ボルボ流の上質感
プレミアムセグメントの世界では今日、派手派手しいアンビエントライトやデジタルツールで飾り立てるのが大流行している。そんな中でXC60のインテリアは異例ともいえる抑制的なデザインで、それがかえって独自性を放っていると言える。
ロードテスト車は3種類用意されているトリムカラーのうちブロンドというホワイト基調のもの。フロントガラスに映り込むダッシュボード上面やドアトリム上部など一部のみオフブラックで、大部分は明るいレザー張り。加飾の木目パネルもドリフトウッド(流木)と称する白化した木材をイメージしたものと、法令上決められている部分を除いて有彩色が使用されていないのが特徴。ウインドウとグラストップからの採光性が良好なことと相まって、車内が非常に明るく感じられた。
ボルボXC60のダッシュボードを俯瞰。アンビエントライトなどの華美な装飾を排したシックさが特徴(筆者撮影)
ウッドパネルの素材はドリフトウッド(流木)の白化した木材を再現したもの(筆者撮影)
その車内だが、静粛性は際立って高い。それを最初に実感したのはロードテスト序盤、首都高速の渋滞にハマっていた時のことだった。
対向車線は流れが良く、大型車が中央分離帯を挟んだ追い越し車線を次から次へと走ってくる。さあ、ガタンガタンという耳障りな音が響いてくるぞと身構えていたところ、たしかに路盤の振動は伝わってくるものの、通過時のロードノイズやエンジン音はごく小さいものでしかなかった。
今どきのプレミアムセグメントカーは静かなのが当たり前なのだが、どういう音を重点的にカットするかというポリシーはメーカーによって異なる。ボルボは側壁とガラスの遮音を特に頑張っているという印象だった。
それだけ車内が静かだと、高速道路をクルーズしている時もオーディオの音量をむやみに上げなくても十分に音楽を楽しむことができる。ロードテスト車にはB&Wのサウンドシステムが装備されていたが、内装のデッドニング(ビビリ音を発生させないための処置)がよく効いていることもあって、さわやかで抜けの良い音だった。
インターフェースはメカニカルスイッチを減らし、タッチパネルに多くのコントロールパネルを押し込んだ仕様。ボイスコマンドが使い物にならなかった時代はこのスタイルに閉口することも少なくなかったが、Googleアシスタントを実装したことで音声認識の精度、AIによる文脈判定の能力がスマホ並みに上がったため、操作に往生するケースは格段に減った。
センタークラスタ上に設置された大型ディスプレイ(筆者撮影)
ボルボXC60の液晶インストゥルメントパネル。表示項目やデザインに大きな特徴があるわけではないが、まとまりは綺麗だった(筆者撮影)