お盆休みの風物詩となっているUターンラッシュ(写真:共同通信社)
(井元 康一郎:自動車ジャーナリスト)
渋滞や混雑を嫌って旅そのものを諦める人も
年末年始、ゴールデンウィークと並ぶ日本の3大バカンスシーズン、お盆。高速道路、一般道を問わず各所で発生する大渋滞はこの時期の風物詩だ。
高速道路会社によれば昨年の同時期は荒天で出控えがあったぶん、今年は渋滞の発生回数が増加する見通しとのこと。
お盆休暇にクルマで旅をしようと考えている人にとっては頭の痛いところだ。各種アンケート結果を見ても、渋滞、混雑を嫌って旅そのものをやめて家で過ごしたり、近場で済ませたりという選択をする人の割合は年々高まっている。
確かに渋滞に出くわす確率は普段より高い。日本は首都圏、名古屋圏、大阪圏の三大都市圏に人口の半分以上が集中する国なので、民族大移動の時期にそのエリアと外部を結ぶ路線がパンクするのは致し方ない。道路構造が悪く、少し通行量が増えただけで渋滞が発生する箇所だってもちろんある。
それらに負けず悲惨なのは観光地渋滞だ。一例は北アルプスのふもとにある日本有数の山散策エリア、上高地近くを通る国道158号線。
上高地はマイカー禁止なので、マイカー族は手前の沢渡(さわんど)の有料駐車場にクルマを置いて出かけるのだが、その駐車場待ちの車列が大渋滞を引き起こす。ハイシーズンに松本から岐阜県側の飛騨高山に抜けようとうっかり踏み込めば、ほとんど動かない渋滞に巻き込まれることになる。
だが、忘れないでいただきたいのは、そういう渋滞頻発区間を除いた他の大部分の道路は、ハイシーズンであっても通るのに何の問題もないということ。日本全国、均等に混雑しているわけでは全然ないのだ。
夏は山のハイシーズン。上高地は大混雑だが新潟の奥只見~福島の檜枝岐はガラガラ。奥只見ダム湖をスバル「ソルテラ」で走行(筆者撮影)
家にいるのが好きな人は無理してお出かけする意味はないが、もし遠出をしてみたいと思っているのなら、渋滞のイメージに引っ張られてせっかくの休暇をフイにすることはない。