渋滞する高速道路渋滞する高速道路(写真:日刊工業新聞/共同通信イメージズ)

井元康一郎:自動車ジャーナリスト)

高速vs一般道「抜け道ランキング」で分かった衝撃的な結果

 最大10連休のゴールデンウィーク(GW)も後半。クルマやバイクで旅をしている人も多いだろうが、そんなお出かけの楽しさをスポイルするのが交通集中による渋滞だ。

 日本は人口の半分以上が首都圏、中京圏、関西圏に集中するという極度の人口偏在社会であるため、そのエリアと外を結ぶ道路インフラは通行量の増加を受け止めきれず、大渋滞となるのが毎年の風物詩となっている。

ゴールデンウイークの風物詩となっている高速道路の大渋滞ゴールデンウイークの風物詩となっている高速道路の大渋滞(写真:共同通信社)

 渋滞は時間のロスだしストレスはたまるしと、いいことは何もない。回避できないかと、ルートや出発時間などさまざまな工夫が繰り返されてきた。だが、工夫はみんながするものなので、こうしたらいいのではないかという読みがかち合った結果、そこが渋滞するという現象も頻発しており、なかなか答えは出ない。

 その渋滞回避に関して昨年、マップアプリの「ナビタイム」が興味深いデータ「抜け道ランキング」を公表した。渋滞する高速道路と一般道、どちらの所要時間が短かったかをプローブ情報を基に解析し、その差が大きいものをランキング化したものだ。

 その結果は衝撃的なものだった。トップは5月5日18時頃の中央道上り大月IC~相模湖IC(25km)間で、高速道路は所要時間195分(通常時は19分)だったのに対し、山梨県道35号に迂回した場合の所要時間は95分。何と100分も一般道の方が早かったのだ。

 山梨県道35号は中央道と大きく離れた街道だが、並走する国道20号はどうか。ランキング3位に5月4日18時、中央道大月IC~上野原IC(20km)vs国道20号の同区間があった。国道20号での道のりは約22kmだが、こんな短い距離を走るのに72分もかかっていた。

 筆者も過去、まさにこの区間で似たような状況に遭遇したことがあるが、片側交互通行ではないかと思うような大渋滞である。ところが中央道の方の所要時間は実に163分。91分もの時短効果が一般道側にあったというのである。

 高速道路で渋滞に遭遇したとき、下手に一般道に下りない方がマシ──というのが常識とされている。一般道に出ても大抵は渋滞している。例えノロノロであっても着実に動いている高速の方が一般道よりは結局早いと考えられているためだ。

一般道の渋滞一般道に下りても結局はノロノロ運転ということはよくある(写真:beeboys/Shutterstock)

 それはおおむね正解なのだが絶対真理ではないということを、ナビタイムの抜け道ランキングは物語っている。例えば長さ30km、通過に1時間かかるというタイプの渋滞であれば、高速に乗りっぱなしの方が一般道より早い。混雑した一般道は平均車速20km/h以下のことが多く、勝負にならない。

 ところが中央道、東京湾アクアライン、名神高速の滋賀、京都エリアのようなほとんど動かない渋滞の場合、一般道の方がずっとマシなのだ。旅に慣れ、道の状況をよく知っている人たちは経験則からそういう選択をよくする。それをデータとして可視化したという点で、ナビタイムの発表は意義深いと言える。

 ほかにも渋滞の実害やストレスを軽減する方法はいろいろある。自動車の長距離ロードテストを生業のひとつとしている筆者の経験を踏まえ、いくつか紹介しよう。

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