人気キャラクターで自在に動画を生成できる時代に?(筆者がChatGPTで生成)
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(小林 啓倫:経営コンサルタント)

衝撃的なディズニーとOpenAIの提携

 OpenAI社とディズニーの提携が話題になっている。2025年12月11日、両社は3年間のライセンス契約を締結すると発表し、ディズニーはOpenAIに10億ドル(約1500億円)を出資することを明らかにした

 この発表が驚きをもって迎えられたのは、その額に加え、両社の間で知財をめぐる争いがあったためだ。

 ディズニーは長年、知財を厳格に守る企業として知られ、著作権や商標権の侵害を理由に企業や個人を相手取って多くの訴訟を起こしてきた。

 たとえば、1989年にはフロリダ州の保育園3カ所に対し、ディズニーのキャラクターを描いた壁画を撤去しなければ訴訟を起こすと警告した。生成AIが普及した後も、彼らはAIがディズニー作品やキャラクターに似た出力を大量に生むことが「無許諾利用」につながるとして、画像生成AIのMidjourneyを訴えるなど強硬姿勢を示してきた

  OpenAI側も学習データや権利処理を巡りメディア業界と緊張関係が続いている。提携前には、同社の動画生成AI「Sora 2」が既存の人気キャラクターを想起させる動画を生成するなどして、ディズニーと利害が対立していた。そのような中での提携発表だったわけである。

 では、この提携で何が変わるのだろうか。私たちユーザーから見て大きく変わる点のひとつが、前述のSora 2において、ディズニーキャラクターたちが使用できるようになるという点だ。

 公式発表によれば、ディズニー/マーベル/ピクサー/スター・ウォーズ由来の200超のキャラクター(衣装・小道具・乗り物・象徴的な環境を含む)を用いた短尺動画の生成が、2026年初頭から可能になるという(ただし俳優などタレントの肖像・声は対象外)。加えて、一部のファン生成動画はDisney+で配信される予定だ。

 この意味について深掘りする前に、ひとつポイントとなる要素を説明しておこう。それはSora 2で始まった「キャラクター」という機能だ。