最大のポイントとなる区間は?

 1時間半にも及んだトークバトルは白熱。「最大のポイントとなる区間は?」という質問では、指揮官たちが“勝つための戦略”の一端を明かした。

 中大・藤原監督は、「今回は7~10区で違いをつけられた大学が優勝に近づくんじゃないでしょうか。3年生の藤田大智は前回10区(4位)を走りましたが、10000mを27分40秒50で走っていますし、男気がある子なので、彼の使いどころがポイントになると思っています」と“復路勝負”を口にした。

 早大・花田監督は、「圧倒的な個を育ててきましたし、2区と5区で区間賞を取るような走りができれば往路優勝が見えてきます。復路の逆転は難しいので、まずは半分、臙脂に染めて、往路の貯金でどこまで逃げ切れるのか。今季は『先頭の景色』もテーマにしてきました。トップを走ることで、よりモチベーションを上げながらレースを進めることが大事かなと思っています」と“先行逃げ切り”を目指している。

 國學院大・前田監督は、「混戦になればなるほど1区が大事になってきます。前回は吉居君が大逃げをしましたので、警戒して1区に好選手が集まると思っています。その裏返しでスローになる可能性もありますが、とにかく1区の先手。1区の10秒は他区間の30秒ぐらいの価値があると思うので、出し惜しみせずに、それなりの選手を起用したいです」とまずは1区でライバル校に先制したい考えだ。

 駒大・藤田監督は、「1区も大事ですけど、前回は山の差が総合タイムの差となり、青学大にやられました。5区、6区の出来がかなりのウェイトを占めるかなと感じています」と話すと、前田監督が「そうなると山川、伊藤じゃないですか」と予想した。さらに前田監督と原監督が駒大のオーダーを大胆予想。「帰山、谷中、佐藤、桑田、山川、伊藤」とまとめて藤田監督は苦笑いだった。

 3連覇を目指す青学大・原監督は、「駅伝は足し算ではなく、掛け算にしないといけません。1区で遅れると、掛け算になってこないんですよ。前回は駒大がライバルと踏んでいましたので、2区へのタスキ渡しで駒大との差(12秒遅れ)を見て、『勝ったな』と思ったんです。前回は宇田川瞬矢に故障があって、10区間で唯一の不安が1区でした。他大学が中大についていく展開だったら本学は勝っていなかったかもしれません。今年は宇田川もしっかり練習できていますし、第100回大会でハイペースに対応した荒巻朋熙、出雲で1区を務めた小河原陽琉もいます。平地区間のパズルはこれから考えていきますよ」と話した。

 今大会はトークバトルに参加した監督が指揮を執るチームが“5強”という図式になっている。各校が勝つための戦略はどうなのか。

 青学大はエース黒田で流れを作り、「掛け算」の駅伝に持ち込みたい。駒大は佐藤、山川、伊藤の3人が走り終えた時点でトップに立っておくのが優勝の条件になるだろう。國學院大は2区と5区をどう乗り切るのか。中大は山を踏ん張り、7区以降の逆転につなげたいところだ。早大は5区工藤でどこまで後続を引き離すことができるのか。

 箱根駅伝は12月29日に「区間エントリー」が行われ、当日変更で最大4人(2日間で最大6人)まで補員の選手と交代できる。各校の指揮官たちはライバル校の動向を気にしつつ、“最強オーダー”を組み立てていく。