(9)実質コストと運用会社の業績の確認
信託報酬が安くても、実質コストが高くて損をするという例があります。実際に投資家が負担する手数料は「実質コスト」です。「信託報酬」が安く抑えられていても、“その他の手数料”がかかり、想定以上の負担になっている場合があります。
例えば、先進国株式に投資するインデックスファンドの中で、信託報酬が年0.06%と最安水準であった「PayPay投資信託インデックス先進国株式」は、2023年6月28日から2024年7月10日に発生した実質コストが1.482%となっていました。
■PayPay投資信託インデックス先進国株式の実質コスト
PayPay投資信託インデックス先進国株式の実質コスト(出所:PayPay投資信託インデックス先進国株式の運用報告書より)
「信託報酬」が低いという情報だけを見て購入したら、実際には信託報酬の約25倍とアクティブ投信並みの手数料を負担することになります。
保有している投資信託の実質コストは「運用報告書」で確認できますので、必ず確認しましょう。
ちなみに「PayPay投資信託インデックス先進国株式」を運用していたPayPayアセットマネジメントは、2025年9月末をもって事業を終了しています。理由は、業績が低迷していたからでした。信託報酬は、運用会社の儲けの元になりますが、現在のように低水準化していると、運用会社の業績が悪化して、最悪の場合、運用会社が破綻するということもありえます。
PayPayアセットマネジメントが運用していた商品は全部で12本。うち8本は、運用会社をアセットマネジメントOne株式会社(AM-One)に変更して引き続き運用が行われています。残りの4本は2025年9月末時点の基準価額で繰上償還となりました。
アクティブファンドの場合は、インデックスファンドのように引き継ぐことが難しいため、運用会社が破綻すればファンドも解散になるでしょう。解散時点で損失を抱えていたら、実現損となりその後に挽回もできません。投資信託の運用は、長期・積立投資を前提としているので、それができなくなるような要因・リスクは排除しておくのが無難です。
運用会社の業績は各社Webサイトに「財務情報等」といった名称で掲載されていますので、必ず確認しましょう。