(3)含み損のある株・投資信託は「損出し」と配当金・分配金の相殺

 損益通算できるのは、株・投資信託の売買損益だけではありません。「株・投資信託の売却損」と「配当金・普通分配金」間でも可能です。なお、投資信託の特別分配金は損益通算の対象外です。

 例えば、課税口座で30万円分の配当金・分配金がある年に、30万円の含み損を抱えている銘柄があったとします。何もしないでいると、税金6万945円(30万円×20.315%)を納めることになります。

 この時、年内取引最終営業日までに含み損の資産を売却し、30万円の実現損にして損益通算をすることで、損益が0円になります。この方法は、時間をかけて保有を続けていても、回復の見込みがない資産の損切りとして役立ちます。

 見切りをつけて、売却して得られたお金を他の投資に回した方が、機会損失(乗り換えていれば得られたはずの利益を逃すこと)も少なく済みます。戦略的に「損出し」を活用しましょう。

(4)課税口座の米国株・米国ETF・米国債は「外国税額控除」を申請

 日本に住んでいる人が、米国株・米国ETF・米国債に投資をして配当金・分配金・利息を得た場合、米国と日本の両方で税金がかかります。まず米国側で配当金・分配金・利息に対して税金10%が差し引かれ、残った金額に対して日本側の税金20.315%が差し引かれます。つまり、二重課税になっているのです。

 二重課税状態を解消するには、確定申告で外国税額控除を申請すれば、米国で支払った税額を自身が納める所得税や住民税から差し引くことができます。

■外国税額控除のイメージ

外国税額控除のイメージ(図:(株)Money&You作成)外国税額控除のイメージ(図:(株)Money&You作成)

 例えば、米国株の配当金が10万円ある場合、二重課税状態だと税額が2万8283円ですが、外国税額控除を申請すれば米国の税金が還付されるため、税額を2万315円まで減らすことができます。

 ただし、還付される税金の原資は自分が納めた所得税・住民税なので、納めた所得税・住民税が少ない場合は、全額が還付されない場合もあります。

 NISAで米国株・米国ETF・米国債ETFに投資をしている場合は、日本国内の課税がないため、二重課税になりません。よって、配当金・分配金・利息に対して米国側で税金10%が控除されます。