日経平均株価が10月下旬に史上初の5万円台を突破した後、「AIバブル」崩壊への懸念から相場は不安定な展開が続いています。11月20日のエヌビディア決算を好感し日経平均は大幅に反発しましたが、生成AI関連銘柄の過熱感は拭えません。果たしてAIブームはどこまで続くのか。そして2026年に向けて市場はどうなるのか。なかのアセットマネジメントの中野晴啓社長がファンドアナリスト篠田尚子氏と語り合いました。3回に分けてお届けします。
※対談の詳細はJBpressの公式YouTubeチャンネル「INNOCHAN」でご覧いただけます。収録日:2025年11月18日
エヌビディアなど巨額投資合戦
中野晴啓・なかのアセットマネジメント社長(以下、敬称略):生成AIや半導体関連の期待感に押し上げられ、日経平均株価は10月下旬に5万円を超えましたが、その後は5万円を割り込み値動きの激しい不安定な展開が続いています(収録した2025年11月18日時点)。背景には「AIバブル」に対する懸念がありますが、篠田さんはどう見ていますか。
篠田尚子・ファンドアナリスト(以下、敬称略):昨年から生成AIブームの旗手とも言える エヌビディアの決算発表のたびに株価が大きく動いてきました。今年もその傾向は続いていますが、市場の雰囲気には少し変化が出ています。
エヌビディアのフアンCEO(写真:ロイター/アフロ)
昨年までは期待一色でしたが、トーンが変わってきたように感じています。世界中で過熱している生成AI関連への投資額は国家予算並みに膨らんでおり桁違いです。その巨額の投資は果たして本当に回収できるのか、という点にだんだんと市場が目を向け始めています。
中野:表面的には各社が巨額投資を競い合っているように見えますが、少し深掘りすると互いに資金をぐるぐる回している「循環取引」のようなものではないかと勘繰りたくなります。本当にそれだけの投資が実体経済の価値創出につながっているのか疑問です。
投資は将来きちんと利益という形で富を生まなければなりません。しかし現時点では、そうしたリターンの具体像が見えてきません。