西郷隆盛の政治思想の涵養
しかし、西郷隆盛の農政思想は、単に農民を慈しむ心を持つに留まり、租税体系そのものを改めて農民を救済しようとか、地位向上を図ろうといった考えはなかった。彼はあくまで、役人の不正や苛政を憎み、為政者が公正かつ清廉潔白に振る舞うことによってのみ農政が安定し、その結果として年貢の円滑な取り立てと生産力の向上につながると主張したのだ。
つまり、西郷は封建的為政者として農民に対峙していたことには変わりはなかったが、この郡方書役時代に、後の政治思想の原点を培ったと言えよう。
しかし、西郷隆盛の農政思想は、単に農民を慈しむ心を持つに留まり、租税体系そのものを改めて農民を救済しようとか、地位向上を図ろうといった考えはなかった。彼はあくまで、役人の不正や苛政を憎み、為政者が公正かつ清廉潔白に振る舞うことによってのみ農政が安定し、その結果として年貢の円滑な取り立てと生産力の向上につながると主張したのだ。
つまり、西郷は封建的為政者として農民に対峙していたことには変わりはなかったが、この郡方書役時代に、後の政治思想の原点を培ったと言えよう。