主要3社のAIモデル、どう使い分ける?(筆者がGeminiで生成)
(小林 啓倫:経営コンサルタント)
先月リリースされた、Googleの最新AIモデル「Gemini 3」。各種ベンチマークテストで好成績を収め、ChatGPTの頭脳となるモデル「GPTシリーズ」を超えたとの評価も出ている。
そうしたライバルの追い上げに危機感を持ったのか、OpenAI社のサム・アルトマンCEOは、社内に「コードレッド(警戒警報)」を発令。派生機能を開発する複数のプロジェクトを延期し、AIモデルの品質改善を最優先課題とするよう指示したと報じられている。
筆者もGemini 3をリリースから使い続けているが、確かにその優秀さを実感できる場面が多い。とはいえ、ChatGPTが「使えない」と感じるようになったなどということはなく、引き続きGPTシリーズ、特に最新モデルである「GPT-5.1 Thinking」と「GPT-5.1 Pro」は課金して使い続けている。
それはAnthropic社のClaudeについても同じで、こちらも最近リリースされた「Haiku 4.5」「Sonnet 4.5」「Opus 4.5」それぞれのモデルを、課金して利用している。
では、これらのモデルをどう使い分ければ良いのか。生成AIは多機能であるため、単純に比べることはできないのだが、ここでは「筆者のようにライターという立場で使うのであれば」と条件を絞った上で、比較・考察してみたい。
それぞれのモデルは、ライターにとってどのような存在か?
それぞれのモデルについて、ライターという立場から見てどのような存在になり得るのか、キャッチフレーズを考えてみよう。その上で、その実力を実際に試してみたい。
【Gemini 3:図書館の司書】
まずはChatGPTを脅かす存在となった、Geminiの最新モデルGemini 3だ。
同モデルは100万トークンという業界トップクラスの超長文コンテキストウィンドウ(入力した情報を覚えておける容量のようなもの)をサポートしており、分厚い書籍全体や、大量の資料PDFを全て読み込ませて処理できる唯一の存在だ。
膨大な情報を一括で読み込み、内容の設定矛盾チェックや、長編小説の設定管理などを任せられることから、「図書館の司書」に例えられるだろう。
実例をお見せしよう。ここにAlphabet(Google)、Microsoft、Amazonそれぞれのアニュアルレポート(株主向けの年次報告書)がある。それぞれ110ページ、80ページ、91ページのボリュームだ。
通常のモデルであれば、これらの一部しか記憶しておけず、全体を網羅した上での分析や回答は難しい。しかしGemini 3にこれらのファイルを与え、「各社のAI戦略の特徴を、日本語で150字前後で要約して」と指示したところ、次のような回答が得られた。
◎Microsoft:AIプラットフォームシフトに対応し、「セキュリティ、品質、AIイノベーション」を中核に据えています。Azure CloudとAIインフラストラクチャをリードし、OpenAI提携や自社モデル開発を進め、「Copilot」製品群で生産性を革新し、あらゆる個人・組織の能力向上を目指します。
◎Google(Alphabet):「AIファースト戦略」を掲げ、インフラストラクチャ(TPU、Cloud WANなど)、モデル(Gemini、Gemma)、製品・プラットフォーム(Search、Pixel、Workspaceなど)を含むフルスタックのアプローチでAI開発を推進。AI OverviewsやProject Astraなどでユーザー体験の変革に注力し、高リスク・高リワードな「Moonshot」にも投資を継続しています。
◎Amazon:「地球上で最も顧客中心の企業」のミッションに基づき、GenAIが全ての顧客体験を刷新すると確信し、深く幅広く投資。AWSを軸に、カスタムAIチップ(Trainium2)や独自の基盤モデル(Amazon Nova)を開発し、AIの推論コスト削減と、Alexa+など1000以上のGenAIアプリケーション開発に注力しています。
しかも、それぞれの回答について、参照したページ数まで示されていた。この能力は執筆のリサーチ段階において、強力な味方となるだろう。