高橋大輔
目次

(松原孝臣:ライター)

テーマ「四(し)」に込めた思い

 待望の公演が再び始まる。

 プロフィギュアスケーター高橋大輔がフルプロデュースするアイスショー「滑走屋」だ。

 2024年2月、旗揚げ公演を福岡で開催。

 統一されたダークな世界観の中、多人数が複雑な動きで氷上に描く構図と群舞、スケーターたちの独特な動作がもたらす表現、何よりもスケートそのものの魅力を伝えるスピードと迫力ある滑走……。

 振り付けにダンスと芝居が融合したエンターテインメント集団「東京パノラマシアター」主宰の鈴木ゆまを迎えたショーは、従来のアイスショーにない世界を生み出し、大きな反響と好評を得て幕を閉じた。

 2025年3月には広島で2回目が行われ、3度目の公演が2026年3月19日から22日にかけて行われる。会場は旗揚げと同じく、オーヴィジョンアイスアリーナ福岡だ。

 公演名は「滑走屋 ~第二巻~」。「第二巻」が付された。

「1回目をやったときは100パーセントではなかったですし、完成できてなかったなと思い広島で行いました。見ていない地域の方々もいると思うので、1回目をいろいろなところでやりたいし、来年、再来年に1回目をやってもいいなと思っています。

 シーズンごとに内容を変えなければいけないとは思ってないんですよ。人が変われば雰囲気も変わるし、同じものでもいい。その作品が好きな人もいるじゃないですか。ただ現状、現役選手の方も参加するというのもあって、いろいろなところでできないんですね。だから新しいものを1つ入れて、その後にまた古いのを“1巻”みたいにやってもいいなと。滑走屋を始める前から『こういうのもいいかも』と思っていたアイデアがあったので、それを組み込んでみようとスタートしました」

 アイデアの一端をこう語る。

「テーマは『四』。『し』と言っているんですけれど、『し』の音には、『死』であったり、志(こころざし)の『志』であったり、いろいろなものがあって、それがやりたいことにかかわってきます。少しお話しすると、四つの柱が東西南北みたいな感じでいて、組み立てとしてストーリーみたいなものがあります。ただ僕自身が構成を作る中でのストーリー、物語なので、がっつりこういうストーリーです、というのは逆に作りたくなくて、そこをオープンにはたぶんしないかな。お客様が感じる『し』でいいです、という感じです。基本は前回と一緒で、スケートと音楽の流れの中で、スケートの、職人たちの技を見てもらうというところです」