ウクライナは米国の情報支援、武器調達の優先枠を失う恐れ
米国の軍事・財政支援がほぼ枯渇し、欧州だけで年700億ユーロの支援を賄いきれない中、ロシア国内の強硬派は「譲歩しすぎ」と批判している。ナショナリスト系メディアは「ゼレンスキー政権の完全な排除こそ必要」と依然として強硬だ。
28項目和平案には「ロシア・ウクライナ・欧州の全面的な不可侵協定」の文言はあるものの、非常に曖昧。ガレオッティ名誉教授は「トランプ氏はウクライナの拒否を期待している可能性がある」と分析する。残された米支援をすべて撤回する口実ができるからだ。
そうなればウクライナは米国の情報支援、武器調達の優先枠の両方を失う恐れがある。ゼレンスキー氏の政権基盤も盤石ではない。汚職スキャンダルで側近が国外逃亡、2人の閣僚が解任された。政局が不安化すると、米国の圧力にさらに脆弱になりかねない。
戦争研究の第一人者、英キングス・カレッジ・ロンドンのローレンス・フリードマン名誉教授は自らの有料ブログ(11月22日付)でゼレンスキー氏がどう対応すべきか、ロシア・米国・ウクライナ国内政治の圧力を分析した上で助言している。