COP30は会期を1日延長して22日閉幕した(筆者撮影)
議長国ブラジルの力不足、米国不在、欧州失速、中国の自国利益第一主義
[ブラジル北部パラー州ベレン発]国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は会期を1日延長して22日閉幕した。「アマゾンのリーダー」の演出を優先した議長国ブラジルの力不足、米国不在、財政難の欧州失速、中国の自国利益第一主義が分断を生んだ。
国連環境計画(UNEP)によると、各国が公約通りNDC(国別削減目標)を実施しても2100年の平均気温上昇は2.3〜2.5度、現行政策のままでは最大2.8度まで上昇する。パリ協定の1.5度目標達成には大胆な削減が求められるものの、野心はCOP30から感じられなかった。
113カ国・地域がNDC更新版を公式に提出。提出済みNDCが全部実施されると35年時点の温室効果ガス排出量は19年比で12%減少する。NDC更新版の提出期日は今年2月とされていたのに、多くの国が守れなかった。途上国は資金や支援を必要としているからだ。
国際的な「グローバル・カーボン・プロジェクト」は化石燃料の排出量は今年、世界で前年比1.1%増えると予測。1.5度までの残余分は使い尽くされつつある。昨年、平均気温上昇は1.36度に達し、残余分は今年の排出量の約4倍に当たる170ギガトンとされる。