トランプ復活で強まった地政学的・経済的・価値観的分断
駐日ブラジル大使を務めたこともあるアンドレ・アラーニャ・コヘーア・ド・ラーゴCOP30議長は英紙ガーディアンに化石燃料の段階的廃止を巡る溝について「2つの極端な陣営に分かれている。一方は段階的廃止に非常に前向きで、もう一方は非常に否定的だ」と話している。
「ロードマップを強く求める国が80カ国余りある一方で、それを越えてはならない一線(レッドライン)と見る国も同じくらいある。中立的な国はほとんどなく、国々はほぼ真っ二つに割れている」。サウジ、ロシア、一部の途上国が「脱化石燃料」に強硬に反対、抵抗した。
COP30がここまで二極化した背景には「反気候外交」を前面に出すドナルド・トランプ米大統領の復活で強まる地政学的・経済的・価値観的な分断の影響は否定できない。第2次トランプ政権はパリ協定再離脱を進め、米国は気候外交のテーブルから離れた。
米連邦政府の国際気候資金は完全に停止し、米国の気候外交リーダーシップの空白が産油国や一部途上国の強硬姿勢を後押しした。トランプ現象がもたらす国際政治の二極化で、欧州・島嶼国VS産油国の対立構造が固定化した。