ドラフトから消え去った脱化石燃料ロードマップ
世界の排出量の32%を占める中国は0.4%の微増。過去10年の伸びより低く、排出減の可能性も残る。再エネ拡大の結果、石炭消費、二酸化炭素排出はピークアウトの兆しも見え始めている。米国(世界の13%)は1.9%の大幅増。欧州連合(EU)は0.4%増え、日本は2.2%減った。
「ムチラオン(共同作業)」を掲げるブラジルは脱化石燃料ロードマップを提案、80カ国超が賛同した。しかし成果文書から「化石燃料への依存を段階的に克服する。エネルギーシステムにおける化石燃料からの移行を公正、秩序、公平な方法で進める」の文言は削除された。
しかし段階的廃止ロードマップに関する議論開始では合意。トルコでのCOP31までに地ならしができるか、議長国ブラジルの手腕が改めて問われる。
脱化石燃料ロードマップを求めるコロンビアや島嶼国(同)
ロードマップは英国とドイツが主導、産油国コロンビアも加わり、支持国はEU、太平洋島嶼国、アフリカ、南米の複数国、アジアの気候脆弱国に広がった。しかしサウジアラビアやロシアといった産油国の強硬な反対でロードマップの痕跡は完全に消された。
バクーのCOP29で決まった35年までに1.3兆ドル、うち3000億ドルを途上国向けにという気候資金目標、途上国がCOP30で求めた適応資金の3倍化という数値目標は残ったものの、法的拘束力を伴う義務にはなっていない。
森林保護の具体的なロードマップも削除された。不十分なNDCを加速させるプログラムは設置したが、NDCを強化する義務はない。
気候マーチに参加する先住民族の人たち(筆者撮影)