11月7日、衆院予算委で立憲民主党の岡田克也氏からの質問を終え、茂木敏充外相(左)と言葉を交わす高市早苗首相(写真:共同通信社)
高市首相の台湾有事関連発言を巡って、日中関係が悪化の一途を辿っている。中国人の日本への渡航や留学の自粛を求めたり、日本映画の公開、各種の民間交流が延期されたりしている。11月19日には、中国は日本産水産物の輸入を停止した。日中関係は、今後どのように展開するのであろうか。
習近平体制は盤石
今の日本には、何年も中国には行かずに、つまり、中国の現状を知らないまま、中国事情を解説する「中国専門家」が多すぎる。
彼らによると、習近平体制は今にも崩壊しそうで、その弱体ぶりを隠蔽するために、外に敵を作り、そちらに国民の目を向けさせているという。今の対日強硬姿勢もその一つだという。
現地を見聞し、習近平政権幹部と付き合い、中国からの訪日視察団に対応している私から見ると、それらの観察は誤っている。
まず、習近平体制は盤石であり、崩壊する兆しなど全くない。習近平がかつて勤めた福建の側近軍幹部を汚職容疑で粛正することができているのは、弱さではなく、強さの表れである。
不動産不況は中国経済に重くのしかかっているが、それでも経済成長率は5%前後である。国民の生活は豊かであり、相対的に日本人のほうが貧しくなっている。中国で接待されたお返しに、日本で中国人を接遇するときに、対等以下の対応しかできずに恥をかくことが多くなっている。EV、ドローン、AIなどの先端技術で日本が後れをとっていることは周知の事実である。
今回、高市発言に対して、あらゆる宣伝手段を駆使して対日攻撃を展開しているのは、習近平直々の指示だからである。要するに、高市の言動に習近平が怒っているのである。
外交部のレベルで対応できる課題ではなく、中国の官民すべてを総動員して、対日攻撃が開始されている。

