11月7日、衆議院予算委員会で答弁に立つ高市早苗首相(写真:つのだよしお/アフロ)
高市首相の答弁で注目される「存立危機事態」とは何か
外務大臣経験者でもある岡田克也・立憲民主党外交・安全保障総合調査会長が、11月7日の衆議院予算委員会で、まるで国会答弁に慣れない高市早苗新首相を「誘導するかのように」行った質疑が、物議を醸している。
岡田氏は、台湾とフィリピン間のバシー海峡を中国に封鎖された場合、日本がどう対応するのかと問うた。それに対して高市首相は、「戦艦を使って武力の行使を伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得る」と答えた。
この「存立危機事態」発言が問題だと、10日の衆院予算委でも、立憲民主党の大串博志議員が、「発言の撤回や取り消しを求める」と噛みついた。だが高市首相は、これを突っぱねた。
ざっとこのような経緯である。
「存立危機事態」は、2003年に成立した有事関連三法の事態対処法(武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律)で定めた概念だ。「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」を指す。
「重要影響事態」(そのまま放置すればわが国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態)と、「武力攻撃事態」(日本への直接的な武力攻撃が発生したか、その明白な危険が切迫している事態)の間に位置する事態である。これによって、自衛隊の防衛出動を可能にしている。
この国会中継を見ていて、中国ウォッチャーの私は「もう一つの危機事態」が気になりだした。それは中国の「過敏な反応」である。
