協議を終えた日本外務省の金井正彰アジア大洋州局長(左)と中国外務省の劉勁松アジア局長(右)=11月18日、北京(写真:共同通信社)

「安心して怒れるニュース」に仕立てられた「存立危機事態」関連報道

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 一年365日、中国のニュースをフォローしている「中国ウォッチャー」として言わせてもらうが、11月18日夜の状況には腰を抜かした。「百度」(バイドゥ)のニュース検索で、PV(閲覧)数ベストテンのうち、何と1位、2位、4位、5位、6位、8位、9位、10位を、高市早苗首相の「存立危機事態」に関するニュースが占めたのだ。

 日本の一つのニュースネタが、これほど14億中国人に「刺さる」ことは、極めて異例である。私が知る限り、皮肉なことに、高市首相の「政治の師匠」である安倍晋三元首相の襲撃事件(2022年7月8日)以来のことだ。

 これはもちろん、中国政府を挙げて日本批判のプロパガンダを行っている最中だからだが、中国でプロパガンダは、他にもごまんとやっている。例えば、習近平主席がいかに偉大なリーダーかをプロパガンダしない日はない。

 そのような「政治ニュース」への「喰いつき」は決してよくない一般市民が、「高市関連ニュース」は必死に見ている。それは、「共産党公認」の「安心して怒れる政治ニュース」ということなのかもしれない。長引く不景気のせいで、多くの人はストレスが溜まっているからだ。

 以下、ベストテンに入ったニュースを、具体的に見ていこう。