まるで日本が中国人にとって危ないように発信する中国政府、危険なのはむしろ…

8位<日本の民衆が中国語で高市の退陣を叫ぶ>

 これはわずか10秒の映像で、東京の路上で、メガネをかけた青年が中国語で、「高市早苗下台!」(下台=シアタイ:退陣)と叫んでいる。続いて、「中華人民共和国万歳」「中日友好万歳」「世界和平万歳」と叫んで終わる。背景は、日本人がデモをしている映像だ。

衆院予算委で立憲民主党の岡田克也氏の質問を聞く高市早苗首相=11月7日(写真:共同通信社)

9位<日本の官僚はそそくさと北京空港を離れていった>

 これは前述の金井局長が、18日の夕刻に北京を離れたというニュースだ。金井局長は結局、日中のメディアに向かって無言を貫き通した。

 それに対して、傲岸不遜な人民服姿の劉局長は歩きながら、中国メディアに「中日外交官の交渉に満足しているか?」と聞かれて、「当然不満意(当然不満)」と吐き捨てた。続いて、「(会談の)雰囲気はどうか?」と聞かれて、「厳粛(厳かな気持ち)」と一言。「怒り」が様(さま)になっていて、「演出」の部分で日本は「映り負け」していた。

10位<日本が中国在住の日本人の安全注意を促したことに対する中国の反応>

 これは『北京日報』からで、やはり18日の外交部定例会見の問答である。上記の質問を受けた毛寧報道局長が、一刀両断した。

「中国は一貫して、引き続き法によって中国在住の外国公民を安全に保護している」

中国外務省の毛寧報道局長(写真:共同通信社)

 だが、保護していないからこそ、昨年6月に蘇州の日本人学校の子供が襲われ、同年9月に深圳(しんせん)の日本人学校の子供が襲われ、殺されたのではなかったか。

 中国政府は現在しきりに、日本国内で中国人の身に危険が迫っているかのごとく煽(あお)っている。私が授業を受け持っている明治大学でも、中国人留学生が、「両親が私に、即刻帰国しろと言ってきて、日本はまったく安全だと言っても分かってもらえない」と嘆いていた。

 両国の現状を鑑みるに、「日本在住の中国人」よりも「中国在住の日本人」の方が、何倍も危険にさらされているのは自明の理だ。2012年の「尖閣国有化」の時に北京で「恐怖の体験」をした日本人の一人として、あのような惨状が再現されないことを願う。