戦争の爪痕と再生の象徴「パトゥーサイ」「タート・ルアン大塔」

 こうした歴史と発展の過程をたどるラオスが、天皇皇后両陛下の長女・愛子さまの初の外国公式訪問先となったことは、まさにベストタイミングであったと言えるのではないだろうか。

 ラオスは、2012年に当時皇太子であった天皇陛下が公式訪問された国であり、また今年は戦後80年という節目の年でもある。

 ともすれば時間の経過とともに風化していく「戦争の記憶」を「若い世代に継承してほしい」という陛下の願いが愛子さまに伝わり、ラオスという“戦争の爪痕と再生の地”に興味を抱かせたはずだ。

 両陛下が長年大切にされてきた「平和と友好の心」を、愛子さまは今、どのように受け止められているのか。その足跡を、今回のラオスご訪問日程とともにたどってみたい。

 愛子さまは11月17日にラオスに到着される。

 到着翌日の18日は、首都ビエンチャンの中心に立つ「パトゥーサイ」と、黄金に輝く巨大な寺院「タート・ルアン大塔」を訪問される予定だ。

 パトゥーサイは一見すると凱旋門のようだが、実はフランスの植民地支配からの独立を記念し、戦争で命を落とした兵士たちを慰霊するために建てられたものだという。

パトゥーサイ(筆者撮影)

 タート・ルアン大塔は16世紀に再建されたラオス仏教の象徴であり、国章にも描かれている。長い歴史の中で度重なる戦火に見舞われながらも、再建を重ねてきた“祈りの象徴”でもある。

タート・ルアン大塔(筆者撮影)

 愛子さまがこの二つの場所を訪れることは、ラオスの人々の心の拠りどころを理解し、平和への願いを共有される象徴的な意味を持つだろう。