不発弾の恐ろしさを衝撃的に伝える「COPEビジターセンター」

 翌19日、ベトナム戦争期に残された米軍のクラスター爆弾による、不発弾の被害を伝える「COPEビジターセンター」にも足を運ばれる予定だ。

 この施設は、不発弾による被害の実情を啓蒙し、不幸にも不発弾の爆発によって障害を負った人々の義肢装具支援を行う拠点である。ラオスは世界で最も空爆された国と言われ、クラスター爆弾の不発弾は現在も地中に埋まっているため、事故が絶えずラオスの人々を苦しめている。

 施設内には、不発弾となった小さな爆弾とともに、足を失った人々のための、おびただしい義足もツリー状に展示されているのだが、その様子は不発弾の恐ろしさを衝撃的に伝えている。

COPEビジターセンター内のクラスター爆弾展示(筆者撮影)
COPEビジターセンター内では義足をツリー状に展示している(筆者撮影)

 愛子さまのご訪問は、戦争の傷跡と向き合い、誰もが支え合う社会を築こうとするラオスの努力に寄り添うものになるはずだ。

 旅の後半、愛子さまは20日に、ラオス北部に位置する古都ルアンパバーンを訪問される。ルアンパバーンは「ラオスの心」とも呼ばれ、かつて王国の都として栄えた場所だ。1995年には街全体がユネスコの世界文化遺産に登録された。

世界遺産ルアンパバーン(筆者撮影)

 メコン川とナムカーン川に囲まれた街並みには、黄金の寺院、フランス植民地時代のコロニアル建築の建物、そしてオレンジ色の袈裟に身を包んだ托鉢僧の姿が溶け合い、静謐でどこか懐かしい空気が漂う。

ルアンパバーンの托鉢(筆者撮影)

 この地で愛子さまが訪問されるとみられるのが、ルアンパバーンを代表する寺院「ワット・シェントーン」。16世紀に建立されたこの寺院は、モザイクで描かれた“黄金の木”の装飾で知られ、ラオスの信仰と芸術の粋を示す名刹である。

ルアンパバーンの寺院ワット・シェントーン(筆者撮影)
ワット・シェントーン黄金の木(筆者撮影)

 かつて王宮だった建物を改装した国立博物館では、ラオス王国の歩みをご覧になり、地名の由来ともなった「パバーン仏」と対面される予定だ。

ルアンパバーン国立博物館(筆者撮影)

 この仏像は、敷地内にあるパバーン仏安置祠の中に鎮座しているのだが、そのポーズは実に独特だ。まるで目の前の何かをおさえるかのように、両掌を前に差し出し、顔の表情は静かに微笑んでいるようなのだ。現地の人によれば、これは争いを鎮める「仲裁のポーズ」なのだという。

パバーン仏安置祠(筆者撮影)

 ラオス人は一般的に争いを好まず、問題があればその都度話し合って解決する道を選ぶという。パバーン仏の穏やかな姿は、長い戦乱の歴史を超えて平和を願ってきた、まさにラオスの人々の祈りを象徴しているようだ。

他の寺院にあった仏像。パバーン仏も同じ手のポーズ(筆者撮影)

 敬虔な仏教徒が多いこの国で、愛子さまは「祈り」と「許し」が根づく文化の深さに触れられることだろう。