新潟県「ミュリール」の前菜
新潟、三重、埼玉にもおすすめの店が
デスティネーションレストランは高い店ばかりではありません。
私が好きな新潟県の糸魚川市にある「ミュリール」は、米どころ新潟らしく、お米の魅力をフレンチの技法で提供。13種の料理が供されて税サ込みで1万1000円です。食事の締めに土鍋で炊いたご飯を、地元で作られた「ごはんの供」と一緒に食べるのが、なによりもごちそうなのです。
遠くてもまだ知られていないところに行きたいという人には、三重県熊野市にある「食堂あお」をおすすめします。一見すれば駅前にある普通の居酒屋のようですが、30代の主人のこだわりがすごいのです。毎朝、カヤックで海へ乗り出て魚を釣り、仕事が終わったら川に潜ってウナギを捕まえて料理するのです。熊野は東京からも関西からも交通の便は悪いですが、彼の料理を食べると、長旅の疲れは吹っ飛びます。しかも、お勘定はまさに居酒屋価格です。
「新潟も三重も遠いなあ」と思う首都圏の方には、埼玉のデスティネーションレストランをご紹介します。池袋駅から西武池袋線に乗れば30分ほどで到着する入間市駅が最寄りの「郷土料理ともん」は、山菜や川魚料理が自慢の店。埼玉だけでなく、関東広域に出向いて店主が採ってくる山菜やキノコ、ヤマメ、イワナは、まさにここでしか味わえないもの。こちらもお酒を楽しんで1万円もいかない値段で楽しめるのです。
ここ10年以上、日本は貧しくなったと言われますが、ガストロノミーに関しては世界のトップクラス。しかも地方に素晴らしい食文化が存在するのです。その魅力を伝えるためにも、さまざまなデスティネーションレストランを旅していただきたいと思います。





