新潟県糸魚川市にある「ミュリール」
地方への分散はオーバーツーリズム解消にも
一方、いま日本ではオーバーツーリズムが問題になっています。しかし、世界中で一番観光客が多い国はフランスとスペインで、人口比にして1.5~2倍以上にのぼります。日本の人口は1億2000万人。訪日旅行者が4000万人を超えるといっても、3割にしかなっていないのです。
しかも昨年、訪日旅行者が日本で消費した額は8兆1000億円。これは統計上、輸出額にカウントされるのですが、自動車に次いで第2位。鉄鋼や半導体よりも上なのです。
たしかに京都や奈良の観光地は外国人客だらけで、居住者が大変なのはわかります。しかし、これは個別に対処するべき問題です。「外国人は出ていけ」という人は、8兆円産業もいらないというのでしょうか。それより、特定の地域に偏っている旅行者に日本の地方の魅力を知らせ、どんどん出かけてもらうほうが、建設的なオーバーツーリズム解消策だと私は思うのです。
先述したように訪日旅行者が好きなのは日本の美味しいものであり、いまの地方にはデスティネーションレストランが数多く存在する。ならば、美味しいレストランを宣伝して地方にインバウンド需要を呼び込み、地方の活性化につなげていきませんか。