訪日理由のトップは「美味しいものが食べられる」
コロナ禍の期間中、ほぼゼロまで落ち込んだインバウンドは2022年からの感染対策緩和で一気に増加。2024年の訪日外国人旅行者は約3700万人となり、今年は4000万人を超えることは確実と見られています。
外国人観光客はなぜ日本を目指すのか。
コロナが世界中に蔓延し、鎖国状態となっていた2021年10月に実施した「アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査」(日本交通公社・政策投資銀行)があります。これは世界12地域6000人余りに「次に海外旅行したい国・地域」を調査したものです。世界の旅行好きにコロナ禍が収まったらどこに旅したいかと聞いたところ、欧米豪・アジアともに日本が1位だったのです。
なぜ日本に行きたいのかと問うと、「美味しいものが食べられるから」がトップでした。この傾向はコロナ禍が明けても変わりません。つまり4000万人を超える外国人旅行者は日本に美味しいものを食べたいと思って訪れているのです。
いま世の中には「アドベンチャーツーリズム」や「ウェルネスツーリズム」「グリーンツーリズム」など、さまざまな目的のツーリズムがあふれていますが、訪日の目的が美味しいものを食べることなのだから、ガストロノミーツーリズムが一番需要があるに違いないと私も思っています。
先述したように、新富裕層は東京や京都にいくら美味しい店があったとしても、すでに大勢の人が行った店には価値を認めません。彼らは「まだ知られていない店」に行きたいのです。それは当然ながら大都会ではなく、地方にあるはずです。実際、アンケートによると訪日旅行者の9割が地方に行きたいと答えているのです。