「この1年半、高校生の娘、大学生の息子、家族は皆、とても辛かったです。でも、辛い気持ちを言葉に出して心情を陳述してきました。それは他のご遺族も同じだと思います。

 そして今日、裁判官は私たちの気持ちと同じ言葉を被告に発してくださり、心を打たれました。私たちの努力が伝わったんだな、と思いました。

 主人が帰ってこないという現実の中、この苦しみは死ぬまで続きます。でも、懲役7年半というこの判決が、法改正に向けての第一歩になればという気持ちもあります。これから先、同じような方々が苦しい思いをされないよう、今回の判決によって少しでも変えていけたらいいなと思っております」

炎上した杉平さんの車から発見された遺品(遺族提供)
杉平智里さんの胸には、ネックレスとなった亡き夫の形見の結婚指輪が(筆者撮影)

被告は児童ポルノ所持法違反でも起訴

 今回、降籏被告には懲役7年6カ月という刑が言い渡されました。「過失運転致死傷罪」の法定刑は当時、7年以下の懲役または禁錮、もしくは100万円以下の罰金刑だったので、その上限を超えています。

 ちなみに、被告は児童ポルノ所持法違反でも起訴されていましたが、こちらの法定刑は1年以下の懲役、または100万円以下の罰金です。初犯の場合、児童ポルノ所持法違反で懲役刑が下されることはまずありません。中には、本件が「危険運転致死傷罪」(最高懲役20年)で起訴されたのだと思っている人も多いようです。

 なぜ、東京地裁は懲役7年6カ月という判決を下すことができたのでしょうか。

 そこで、杉平さんの被害者参加弁護人をつとめた高橋正人弁護士に、今回、東京地裁が「懲役7年+罰金刑」ではなく、あえて「懲役7年6カ月」とした理由とその奥に込められた意義について伺いました。