***<高橋弁護士による解説>***
本件のように「過失運転致死傷罪」(最高懲役7年)と「児童ポルノ所持法違反」(最高懲役1年)を併合して有期の懲役または禁錮刑を下す場合、刑法47条では、重い罪の上限の1.5倍以下とし、両罪の上限の合算を超えてはならないと規定されています。
判決後、記者会見を行う高橋正人弁護士
2025年6月1日から、懲役と禁錮は拘禁刑に一本化されましたが、本件事故が発生した当時は改正前の、以下の条文でした。
<有期の懲役及び禁錮の加重>
●刑法第47条
併合罪のうちの二個以上の罪について有期の懲役または禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。
児童ポルノ所持法違反に関しては不起訴かせいぜいが罰金刑
「過失運転致死罪」の最高刑は懲役7年、その1.5倍は10年6カ月になるわけですが、同条但し書きの制限があるため、裁判所は両罪の合算である懲役8年(懲役7年+懲役1年=懲役8年)の範囲内で量刑を言い渡さなければなりません。
その場合の解釈には、二通りあります。
第一は、起訴された罪ごとに個別的な量刑判断をし、その結果を単純に合算するという解釈。第二は、各罪の上限を先に合算し、その範囲内で全体的な量刑判断をして差し支えないとする解釈です。
第一は、まず「過失運転致死傷罪」についての判断です。本件事故は、3人死亡、3人重軽傷という非常に重い結果を生んでいます。また、判決文で指摘されているとおり、注意義務違反(過失)の程度も、前例を見ないほどに著しく重いもので、本来なら法定刑の上限7年を超えるに等しい悪質運転であったと言えます。しかし、法定刑の上限が7年である以上、「過失運転致死傷罪」については、7年を言い渡さざるを得ないわけです。
また、「児童ポルノ所持法違反」については、単に画像をダウンロードしていたにすぎず、同罪での前科もないことを考えると不起訴処分、もしくは、起訴したとしてもせいぜい罰金刑です。つまり、併合罪加重をしても、各罪の個別的な判断を合算し、懲役7年と数十万円の罰金刑となるのが一般的です。