*イメージ画像(写真:bluedog studio/Shutterstock)
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 2022年10月18日午後3時半頃、JR池袋駅からほど近い南池袋3丁目の横断歩道で、赤信号無視の自転車が歩行者をはねる事故が発生した。自転車を運転していた若い男は、倒れていた女性を救護せずにそのまま逃走。3年経った今も逮捕には至っていない。事故の一部始終は防犯カメラに記録され、複数のメディアで公開されたが、なぜ、捜査は進展しないのか……。事故後、一切救済を受けられずに放置される被害者の苦悩を、ノンフィクション作家の柳原三佳氏が聞いた。

「ごめんなさい」で済む話ではない

「信号無視の自転車にひき逃げされてから、早くも3年が経過しました。事故の瞬間映像はビルの防犯カメラに記録されており、逃走する犯人の姿は都営バスのドライブレコーダーにも映っていました。それだけに、犯人はすぐに逮捕されるはずと高を括っていたんですが……。

 犯人は自転車だったのできっと近くにいたはずです。あれだけの情報がありながら、なぜこんなに長い間、逮捕に至らないのか。悔しくてなりません」

 ため息をつきながら語るのは、川崎陽子さん(50代・仮名)です。

事故瞬間の画像。ドライブレコーダーの映像から切り抜いた。自転車の男性は事故後、「ごめんなさい」と言って走り去ったという

 本件は、3年前の10月18日、午後3時半頃に発生しました。以下は、現場正面のビルの防犯カメラに映っていた衝突前後の映像を編集したものです(メインの動画は見やすくするため拡大し、オリジナルの動画は左下のカコミに表示しました)。

 川崎さんは振り返ります。

「私は歩行者用の信号が青になったのを確認して、横断歩道を渡りはじめたのですが、次の瞬間、右側からものすごい衝撃を受け、アスファルトにたたきつけられました。一瞬、気を失ったようで、とっさに事態が把握できませんでしたが、かすかに顔を上げると、若い男が自転車を起こしながら、私に向かって『ごめんなさい』と言っていたので、ああ、この男の自転車にはねられたんだ、ということがわかりました」